私のご主人様

「暁、先風呂行っておいで。琴音ちゃん寝かしとく」

「分かった…」

少し納得いかない顔をする暁だけど、琴音ちゃん寝かしつけるの譲りたくないんだよね。

寝てからちょっとすると琴音ちゃんはなにかを求めて手を伸ばす。その手をとるとひどく安心した顔をする。

しばらくしたら手の力は抜ける。それまで暁が手を繋いであげるとは思えないし、何より琴音ちゃんのその顔を見るのが楽しみでもある。

多分、無意識だ。時々寝たまま涙を流す琴音ちゃんは、相当堪えているはず。

そんな琴音ちゃんが少しでも安心するのなら、いくらても手だけと言わず胸でも貸す。

って、若より俺の方がずっと情が移っちゃってるな、これは…。また甘やかし過ぎとか言われそうだけど、いいか。

「俺は若より、奏多さんの方が琴音に惚れてると思うんだけど」

「あ~。俺は恋愛ではないかなぁ。確かに魅力的ではあるけど、なんか下心出てこないんだよねぇ。ほら、理想の妹みたいな」

「気持ち悪い」

「うわ、傷つくわ」

そういう暁も人のこと言えないと思うんだけどなぁ。

まぁ、言わないけど。
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