私のご主人様

「琴葉ちゃん、バックはどれですか!?」

「左手のです。ハンカチと化粧直しと時計を入れてください」

「琴葉ちゃん!!グロスどっちがいい!?」

「今夜のパーティーでは目立たないようにしてください」

「じゃあこっち使います!」

「琴葉ちゃん立っちゃだめー!!」

あー阿鼻叫喚になりそう。あ、なってるかもしれないですね。

ここだけの話、私のご指導役のメイドさんが飛ばされて以降、長続きする人がいないんです。

理由は奥様のわがままに振り回されて泣かされる人が後を断たないから…。

なので、実質的に奥様付きの使用人の総司令役状態です。

私中学生ですよ?学生ですよ?さらに言うなれば本当は働いてはいけません。その点は正式な手続きを踏んでるのでご心配なく。

「琴葉ちゃん!アクセサリー…」

「これ使ってください。あと、山代さん同行で。ケータイと名刺忘れないでくださいね」

「はぃ…」

嫌そうな顔しないでください。私がついてくわけにはいかないのです。

そんなこんなでどったばたな1時間が過ぎて、奥様の用意がギリギリで終わりました。

正面玄関の横につけられた車に乗り込む奥様。その車が門を抜けるまで奥様付きの使用人総出で見送りました。
< 21 / 291 >

この作品をシェア

pagetop