私のご主人様

台所から出て、一旦足を止める。

「んじゃ、ごゆっくり」

「さっさと行ってきます」

「そこは…」

「…いやぁぁあああ!!!!!」

突然聞こえてきた悲鳴に、暁と顔を見合わせる。

今の声…琴音ちゃんの…?

暁とほぼ同時に駆け出して琴音ちゃんの部屋に向かう。

さっきの悲鳴を聞いたのか、何事かと顔を出す先輩たちを押し退けて進む。着いた部屋の前にはその襖を開けようとする人が数人いた。

「開けるな!!」

「!?奏多おま…」

襖の前にいた人を押し退け、襖を開ける。部屋の中の様子に思わず固まる。後から駆けつけてきた暁が体当たりしてくるように中を覗いた。

「琴音ちゃん…」

部屋の真ん中で、両手で耳を塞ぎガタガタ震えている。

琴音ちゃんに駆け寄ろうとするする暁を止め、そっと近づく。
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