私のご主人様

初めて薬を混ぜたとき、流石に嫌な顔はするだろうと思っていたのに、そんな顔1つしなかった。

思わずまずくないかと聞いても、首をかしげておいしいですなんて言う。そこでようやく琴音ちゃんが危ないことに気がついた。

だから優しくした。とにかくこれ以上琴音ちゃんが壊れてしまわないように。

でも、それは俺の独断で若の判断じゃない。

若に向かって頭を下げる。

「勝手に行動してしまい、申し訳ありませんでした。薬の量は琴音ちゃんが落ち着いたら減らしていくことになっています。だからしばらく俺に任せてもらえないでしょうか」

「…分かった。悪かったな。お前たちの努力を壊した」

「いえ。俺の報告ミスです。申し訳ありませんでした」

若の謝罪に正直驚く。こんな風に謝ったりする人ではなかったのに。

「まぁ、ここちゃんのことは奏多たちに任せて、若も休んだら?明日は親父さんと話があるはずだし?」

「…あぁ。奏多、頼む」

「はい」

最後に琴音ちゃんを見た若の目は後悔しているように感じた。

部屋を出ていく若と入れ違う形で戻ってきた暁は、若に頭を下げる。
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