私のご主人様

裏の人間ではなく、表の人間で琴音ちゃんを狙う者…?

警察経由ではなく、琴音ちゃんを狙う理由がある犯人の可能性は…。

ふと浮かんだ答えに確証はない。だけど、可能性は高い。

「琴音ちゃんの元の雇い主、ですか」

「せーかい」

ニヤリと口角を上げた伸洋さんは、めんどくさそうに前髪をかきあげた。

「はっきりどこなのかはっきり分からないのも気持ち悪い。なのに、ここちゃんが奥様付きだったこと。1ヶ月前にその馬鹿息子に犯されたことは分かってるのに、全容が見えない」

それは報告されていなかったこと。

若が伸洋さんに指示していたことは知ってる。だけど、伸洋さんの手でも元の雇い主が見つからないなんて思ってもみなかった。

「…ここちゃんに聞けばいいって分かってるんだけどねぇ。なんか癪に触る。奏多、暁聞いた?」

「いや、俺たちは何も…」

「まぁ、これからも聞かない方向で。俺も相手に負けるなんてプライドが許さねぇし?」

笑っているけど、さっきから全然笑ってない。むしろ怒り増大してないか…?

この件に関しては絶対にこっちから触れないようにしようと心に誓った。
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