私のご主人様

朝の一時


「…っ」

…頭痛い。目もなんか痛い…。

目を覚ますと、窓から差し込んだ日の光に目を細める。

もう朝なんだ…。身を起こしながら、ふと自分が寝ていた布団に違和感を覚える。

あれ、私いつの間に寝たんだろう。昨日確か、季龍さんから話があるって言われて、それで…。

『父親に会わせる気はない。お前の幼馴染みにもだ』

『…奴隷になりたくなければ、分かったな』

「…」

あぁ、そうだ。思い出した。

何を浮かれていたんだろう。優しくされ過ぎたのか、自分の立場を忘れていた。

私は、売られたんだ。奴隷になれたくなければ何て、意味がわからない。

私はここに来た時点で奴隷でしょう?

何で優しくするの。どうして希望を持たせようとするの。

そんなの、誤解するからやめてよ…。

重くため息をつく。…寝かせてくれたの、奏多さんと暁くんだよね。お礼、言わなきゃ…。

コーヒーくらいなら淹れれるかな。
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