私のご主人様

いい臭いだな~。と、挽き終わって気づく。

奏多さんたちいつ起きてくるんだろう。タイミング間違えちゃった…。

でも、このまま置いてても鮮度が落ちて本当においしい状態ではなくなってしまう。

とにかく淹れるだけ淹れよう。

「…」

さて、どうしよう。出来上がってしまったコーヒーを見つめて腕を組む。

私が消費するしかないなぁ。でも、コーヒーブラックで飲めない…。カフェオレにしながら飲んだとして3日くらいかかりそうだ。

もうしょうがない。そうしよう。ペットボトルにでも入れて冷蔵庫で保存しよう。

ペットボトルあったかなと、探し始めようとした時、コンコンというノックに驚いて振り返る。

「失礼しますね。琴音さん」

「?」

だ、誰だろう…。50歳くらいの男の人。スーツを着たその姿はまるでお父さんに似ていた。

名前知られてる…。頭を下げると男性は微笑んで台所に入ってくる。
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