私のご主人様
…びっくりした。まさか突然お偉いさんに会ってしまうなんて。
失礼だったかな…ちょっと心配。
明日からはちゃんと用意しておかなきゃ。
とりあえず片付けようかな。奏多さんたちいつ起きるんだろ…。
と、悩んでいるとドタバタとにぎやかな音が近づいてくる気がする。ん?
廊下の方を見ると、びゅんっと何かが横切っていく。…え?何今の…。
驚きすぎて固まっていると、ガタガタっと音がして、少しだけ開いていたドアが大きな音を立てて開け放たれる。
「琴音ちゃ~んっ!!どこ行ったのかと思った~!!」
「!?!?」
部屋に飛び込んできたのは奏多さんで、両手を広げて抱き着いてくる。
っぐ、ぐるぢい…。力一杯抱き締めにかかってくる奏多さんの胸を押し返しても、叩いても全然力が緩まない。
し、死ぬかも…。流石に酸欠で意識が遠退きそうなった頃、不意に拘束が解けて、思いっきり咳き込む。
っび、びっくりした…。
「琴音、お前勝手に部屋から出んな。奏多さんが暴れる」
「コクコク」
私ももう窒息死を覚悟したくないです。
深呼吸を繰り返していると、奏多さんが申し訳なさそうな顔をしてたので、なんとか呼吸を元に戻した。