私のご主人様

暁くんはやっと手を離してくれたけど、何事もなかったかのように小分け用の皿なんか取り出してる。

…びっくりするじゃん。びっくりしたじゃん!!

いつも抱き着いてくるわ、たまにいつの間にか添い寝してくる奏多さんならとにかくっ←?

いつもツンツンな暁くんがこんなことしたら、恥ずかしいじゃん!!

顔が真っ赤になったのを見られたくなくて、机の下に避難して頭を抱える。

うわぁぁああ…暁くんのばかぁ…。

「おい、琴音。避難訓練は後でやれ」

「…」

誰のせいだと…。それに、避難訓練ってちょっとおかしい。

笑いそうになったけど、暁くんが怒るのが目に見えたので何とかこらえてから机の下から出てくる。

とりあえず運ばなきゃ。お茶碗とか人数分…。

ん?あ、そうだ!!

「“田部さんと季龍さんのお父さんの分、取っといて欲しいです”」

「…そうか」

暁くんが運ぼうとしていた唐揚げの山から2人分取って、お盆を2つ並べてから定食のように用意する。

さてと、どこに届ければいいんだろう?

「琴音、置いとけ」

「?」

「田部さんが取りに来る。お前は用意するだけだ。届けることはお前にだけはさせねぇ」

「??」
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