私のご主人様

「それにしても、すごいね。みんないい臭いに誘われて集まってきてるよ」

「え?」

伸洋さんの笑みに奏多さんと暁くんははっとした顔で閉じられた襖に向かうと、前置きも何もなく襖を開け放った。

「どわ!?」

「ぎゃー!」

「!!」

悲鳴と共に雪崩れ込んできたのは、厳ついお兄さんたち。

どちら様…?

呆然と見下ろしてると、奏多さんと暁くんはため息をついている。

「呼ぶまで来ないでくださいって俺が回った意味ないじゃないですか」

「だ、だってよ…」

「うまそうな臭いがしたから…」

奏多さんの言葉にかわいい言い訳をする厳ついお兄さんたち。

それにしても、この人たちは一体どちら様?

「まぁ許してやれよ奏多。俺も釣られてきたし」

「伸洋さん…」

ここの人たちはごはんの臭いで釣れるんだ。今度さんま焼いてみようかな。
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