私のご主人様

あんまり言いたくなかったです。

奥様のせいにするみたいでなんかヤダ…。

旦那様は1つため息をつくと、お父さんに視線を向けられました。

「…宮内、今日はいい。琴葉を病院につれていってやれ。治療費はこちらが支払う」

「しかし、まだ明日の資料が…」

「それは波瀬の仕事だ。娘の顔に傷を残してやるな」

「父さん、それは僕が」

「お前はいい。宮内、琴葉、すまなかったな」

「いえ…」

旦那様はすぐに踵を返してお部屋に戻られるようです。

その背を向かって頭を下げる。お父さんも、その場に残って頭を下げていました。

旦那様が見えなくなって、頭をあげると、お父さんが駆け寄ってきた。

「琴葉、大丈夫か?」

「うん。大丈夫」

「…血がにじんでるぞ」

「え!?」

嘘!?そんな深く切った?

ガーゼに触れたけど、よくわからなかった。でも、手に血がついた。

あれ。血止まってない?あれ、奥様のドレスとかについてないよね?

…今すぐ確認しにいきたい!!!
< 25 / 291 >

この作品をシェア

pagetop