私のご主人様

『最近、ドアをちゃんと閉めたはずなのに微妙に開いてるんです』

「…え?」

奏多さんがドアの方を見ると、今も少し開いている隙間に眉をひそめる。

「琴音、まさか部屋にいる時もか?」

「…?」

部屋にいるときはどうだろう。でも、台所や洗濯室にいる時の割合の方が圧倒的に高いような…。

必死に記憶をたどっていると、2人は微妙に開いたドアに無言で近づいていって、なんの前触れもなくドアを開け放った。

「何覗き見してるんですか、変態どもっ!!」

「覗き魔!」

廊下に向かって怒鳴る2人の声に、何となくここがヤクザだってことを実感。

だってねぇ。あんなドスの効いた声なんか不良くんが活躍する映画とか、警察に密着した番組とかでしか聞いたことない。

ヤクザじゃなくても、明らかに不良やってます感満載だ。

1人で納得していると、おずおずというように廊下から3つの頭が覗く。

スキンヘッドと金髪さんとサングラスさん。わお。
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