私のご主人様
サングラスの人は、ポカンと口を開けたまま固まること数十秒。
突然ビクッと肩が上がって、膝に手をついて視線を合わせてくれる。
「ど、どうされましたかっ!」
「!?」
野球部張りの大声に体がビクッとする。この声に、残りの2人の先輩と奏多さんも私たちを見た。
な、なんか言いにくい…。
おずおずとタブレットを見せると、サングラスの人はその画面を凝視する。そして、2人の先輩方も覗きこんできた。
『葉月 琴音です。ご挨拶もろくにせず申し訳ありませんでした。よろしくお願いします。料理のご要望などがあれば申し付けください』
そしてしばらく経った後、サングラスの人にガシッと手首を掴まれる。固い握手みたいな感じ?
「…琴音さんっ!」
「!」
「こちらこそよろしくお願いしやす!!」
「俺たち、琴音さんの料理に感動したんですっ!そのお礼をしたくて!!」
スキンヘッドの方と金髪の方にも手首を握られる。
なぜか目を潤ませて(サングラスの人は分からないけど)固い握手?をしてくる先輩方。
どうすればいいんだろう。助けを求めるように奏多さんと暁くんを見ると苦笑いのような、呆れてるような微妙な表情でした。