私のご主人様

「それじゃあ50分ね。はじめ!」

翌日、朝のお仕事を終わらせて、使われていない空き部屋で、昨日の夜に宣言された学力テスト開始です。

本格的なのか、机の上にはシャープペンシル2本と消しゴムだけ。時計はデジタル時計が1つ。

部屋は空き部屋とだけあって、多分運んできた机しかない。

試験官は暁くんと奏多さん。

カリカリとシャープペンシルを走らせる音が部屋に異様に響く。

「…」

えーと、終わった。開始20分。

顔をあげると、居眠り中の暁くんと、目を丸くした奏多さん。

暁くんいつの間に寝てたの…?

「琴音ちゃん?」

終わりましたって伝えたいけど、タブレットがないことに気づく。

仕方なくテスト用紙の端っこに終わりました。と書くと奏多さんはぎょっとして私を見る。

「見直しは?」

終わりましたを消して、しましたと書くと、奏多さんはしばらくフリーズ。
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