私のご主人様

「内藤、助かった」

「いいや。こっちこそ、悪かった。…琴葉も怖がらせたな」

「っいいえ!ありがとうございました」

「あ、そうだ。夜(よる)が会いたいって言ってるんだが、明日休みだよな?」

夜って言うのはあだ名で、本当の名前は成夜(なるや)。内藤様の1人息子で、私と同い年。

成夜とは幼なじみ。…うーん、むしろきょうだい?双子?それくらい親しい友です。

何で夜ってあだ名かと言うと、夜行性だから。休みの日は昼夜逆転もいいところだって内藤様は呆れられてる。

そんな成夜は来年度始めから、お坊っちゃま付きの使用人見習いとして来るようになるからちょっと楽しみでもあります。

「はい。空いてます」

「よし。なら夜に伝えておく。連絡来るだろうから、よろしくな」

「はい!」

「…えーと。宮内、頼むから息子を呪い殺さんでくれよ?」

内藤様のひきつるお顔の先には、お父さんがいました。いつもの優しい顔が一変。ものすごく怖い。

「お父さん?」

「何でもない。琴葉、着替えておいで。車で集合だ」

「はい。内藤様、お先に失礼いたします」

「はい。お疲れさん。ところでその様つけいつになったら消えるのかな?」

「癖です」

「それは参った」

降参のポーズをとる内藤様に頭を下げて、急いで更衣室へ。

お父さん着替えなくていいからずるいのです…。
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