私のご主人様
「飯作る時間には戻るから」
「…コクン」
いやいや、夕食作りまでに何時間あると…。3時間あるよ?
私がいうのも変だけど、本当に見張りの意味なくないですか?
「…掃除、明日手伝うから今日は休んでろ」
…テレビもないのに3時間も何をしろと?
暁くんは行き辛そうにしながら、ゆっくりとした足取りで部屋を出ていった。もちろん、何回も振り返りながら。
2人がいなくなった部屋で1人。シンと静まり返った部屋に気持ち悪さを感じて壁に避難する。
そういえば、こうやって1人になるのは久しぶり。何せ逃げようとした日から、奏多さんと暁くんがほぼ傍にいたからこんな昼間に1人なんてあの日以来だ。
「!」
そうだ。1人なんだ。
見張りもいない。逃げようと思えば逃げられるこの状況。
…どうして?信用されたから?それとも、逃げようとしないか確認するため?