私のご主人様

急いで着替えて使用人用の勝手口から出て駐車場へ。ついでに私服に着替えました。

制服で病院は悪目立ちしそうです。様々な意味で。

やっぱりと言うか、お父さんは既に車に乗ってました。

「待った?」

「いや。早く乗りなさい」

「はぁい」

車に乗り込むと、すぐに車は発進する。

はぁ。ってもう7時かぁ。早いなぁ。

「救急しかないか…」

「えー。ほんとに行くの?これくらいほっといても大丈夫だよ」

「…血、たれてるぞ」

「え゛」

嘘!?さっき鏡で見たときはガーゼが真っ赤になってたくらいのはず!?

ガーゼの下に触れると、ネチョットした感触…。おーまいがー!!!

「琴葉」

1人で唖然していると、真っ白なハンカチが差し出される。お父さんの…。

「汚れちゃうよ」

「いいから。服につくだろう?」

「ありがとう」

せめて古いのなら良かったのに。ものすごく真っ白で使うのは気が引けます。

受け取ってからもどうしようと思っていると、信号待ちでお父さんに手を捕まれてハンカチを押し当てられました。

実力行使されたー!!!

そのまま病院まで、ハンカチはガーゼの上から押さえられていました。
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