私のご主人様

「ちょ、琴音さんはやっ!!」

「うおおぉぉぉおお!!」

瀬名さんと相須さんにすれ違いながら余裕で駆け抜ける。

そして、大差をつけてゴール!

「琴音さんの勝ち」

「“やった!”」

森末さんの声に両手を上げる。と、同時にがらがらと玄関の扉が開く。

「…」

「…」

「若っ!お帰りなさいませっ!!」

森末さんの声だけが響く。両手を上げたまま固まる私と、そんな私を不審者を見るような目で見つめる季龍さん。

…とりあえず、上げていた手をそのまま下げて、一緒に頭を下げた。

「どわっ!?」

「っはぁ、っはぁ、しんど!って、若っ!?」

「「お帰りなさいませっ!!」」

ほぼ同時にゴールしたらしい瀬名さんと相須さんも揃って大きな声。

頭を上げるタイミングが分からず、そのまま固まっていると、ぽんっと頭に手をおかれる。
< 284 / 291 >

この作品をシェア

pagetop