私のご主人様
「ちょ、琴音さんはやっ!!」
「うおおぉぉぉおお!!」
瀬名さんと相須さんにすれ違いながら余裕で駆け抜ける。
そして、大差をつけてゴール!
「琴音さんの勝ち」
「“やった!”」
森末さんの声に両手を上げる。と、同時にがらがらと玄関の扉が開く。
「…」
「…」
「若っ!お帰りなさいませっ!!」
森末さんの声だけが響く。両手を上げたまま固まる私と、そんな私を不審者を見るような目で見つめる季龍さん。
…とりあえず、上げていた手をそのまま下げて、一緒に頭を下げた。
「どわっ!?」
「っはぁ、っはぁ、しんど!って、若っ!?」
「「お帰りなさいませっ!!」」
ほぼ同時にゴールしたらしい瀬名さんと相須さんも揃って大きな声。
頭を上げるタイミングが分からず、そのまま固まっていると、ぽんっと頭に手をおかれる。