私のご主人様

恐る恐る顔を上げると、片方だけ口角を上げた季龍さんが目の前にいて少しびっくりする。

「勝ったのか?」

「コクン」

「そうか。よかったな」

「っ!」

頭に置かれたままの手で撫でられる。顔が熱くなったような気がしたけど、体がカチンと音をたてて固まった。

そのままくつを脱いで部屋に行かれた季龍さん。その足音が遠くなって、その場にうずくまった。

穴があるなら入りたいっ!!いや、むしろ埋めてくださいっ!!

いくらなんでもあり得ない!

季龍さんと面と向かったのも久しぶりなのに!その久しぶりがこんな風になるなんて恥ずかしすぎてどうすればいいのかわからない。

「琴音さん?」

「大丈夫すか?」

大丈夫じゃないです。熱くなった顔を見られたくなくてうずくまり続ける。
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