私のご主人様

「って、なんでいるの?インターフォン鳴らしてないよ」

「あ?塀のなかにいた。そろそろ来るだろうって思ってたし」

「えー。そんなに会いたかったの?連絡してくれればよかったのに」

「っはぁ!?バカじゃねぇの?俺はトレーニングついでに待っててやっただけだし」

「汗かいてないのによく言うよ。照れ隠しめ!」

叩いたら、倍返しされた。めちゃくちゃ痛かったです。もちろんやり返した。

「成夜、いつまでやってんの!入ってきなさい!近所迷惑!」

「うっせぇ!ばばあ!」

「はぁ!?」

玄関から顔を覗かせた女の人に、思わず笑顔になる。

成夜の手を離して、女の人に駆け寄った。

「お母さーん!」

「琴葉~!」

両手を広げて待っててくれたので、遠慮せずにその腕の中に飛び込みました。

ぎゅってしてくれるとすごく安心する。本当のお母さんみたい。

この人は成夜のお母さんの内藤 華美(ないとう はなみ)さん。でも、私の育てのお母さんと言っても過言ではないんです。

私の本当のお母さんは、私が1歳の時に亡くなった。過労死、だった…。

それ以来、男手1つで私を育ててくれたお父さん。でも、私が小さかったときは、内藤様の手助けもあり、内藤様の家に預けられたときもあった。

だから、成夜のお母さんは、私のお母さんでもあり、成夜はきょうだいでもあり、双子でもあるんです。

私やお父さんを家族みたいに受け入れてくれる内藤様の家族が私は大好きです。
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