私のご主人様

「こと、お前高校どうすんだ?」

リビングからキッチンを覗く成夜の声にちょっとびっくりしました。

「え?北高行くよ」

「香蘭の高等部じゃねぇんだな」

「庶民は庶民らしいとこ行く」

そう、高校からは一般の公立高校に行く。お父さんと大分前から相談してたことだ。

でも、奥様たちには言ってない。というより、ギリギリまで言わないつもり。今言ったら確実にあの手その手で香蘭に引き留められる可能性が高いんです。

これ以上陣之内家の世話になるのは、今後を考えるとやめた方がいい。

お父さんの言葉は重たくて、それからはなにかくれようとしても、すべて断るようにしてきた。

「琴葉、これも一緒よ?」

「え?…成夜も!?」

嘘!?北高って県内有数の進学校なのに。

野球バカだからてっきり甲子園狙える高校に行くんだと思ってた…。って、成夜頭良かったっけ?

「おい、なに失礼なこと考えてんだ」

「成夜甲子園行かないの?スカウトされたんでしょ?」

「行ける学校に行くんじゃねぇ。俺が連れてくんだよ」

「俺様ー」

「うるせ!」

とにかく意外。でも楽しみです。
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