私のご主人様
1.カウントダウン
count5
「こーとちゃん!ねぇ、おかず交換しよー?」
「っくす、いいよ。どれがいい?」
「あー!ことちゃん笑わないでよぅ」
頬をリスみたいに膨らませて、ぷんぷん怒る友人の姿に思わず笑みが浮かんでしまう。
大きな瞳に自然に色づいた唇は桃色。鎖骨にかかる彼女の毛先は緩くカールしている。
身長はそれほど高くない145㎝の彼女は、女の私から見てもかわいい女の子だ。
花咲 風羽莉 (はなさき ふわり)さん。お父様がホテル経営されてるいわゆるお嬢様。
普通なら一目置かれる立場の彼女だけど、この学校では当たり前の認識。
というのも、この中学校。いわゆる私立のお坊っちゃま、お嬢様学校です。
ついでに香蘭学園という名前です。
だから制服で100万とかいうわけわからない数字が出てくる…。もちろん鞄もろもろも全部指定物。
庶民が通えるわけないし、通っていたら格好の注目の的。
…あ、私はお嬢様ではありません。その末席にすら座っていません。
ザ・庶民の筆頭です。