私のご主人様

「お母さん、部活入りたい」

『うん』

「友達が欲しい」

『うん』

「普通の中学生になりたかった」

『そうだね』

押さえ付けた言葉を吐き出すように並べていく。

脈絡がなくて、話があっちこっちに飛んでいって、それでもお母さんは聞いてくれる。

それが、すごく嬉しかった。

『琴葉』

「うん」

『泣いてもいいんだよ。いつも見てるからね』

あぁ、夢が終わってしまう。このまま覚めなきゃいいのに。

温もりが離れていく。強く握っていたはずの温もりが消えていく。

「お母さん…」

『愛してる』

最後に響いた言葉を最後に、暖かい世界から離れていった。
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