私のご主人様

「…こと」

「なにさ!っ!?」

そっけなく返したつもりが、直後に抱き締められる。お腹の前で交差した手が、なんか落ち着かない。

「成夜離して!気持ち悪いっ!」

じたばたしても離れてくれない。もう!今日はなんなんだー!!

「…明日、お坊っちゃまに顔合わせに行く」

「は?…はぁ!?」

「い゛!!?」

ゴッと後頭部に何かが直撃。振り返ったら成夜が鼻押さえてた。

頭突きしたみたいですね。ごめんなさい…。

「ごめん」

「おー」

しばらく成夜が復活するのを待って、お話再開。

「なんで?4月からだよね?」

「顔合わせっつうの?まぁ挨拶がてら旦那様とか奥様にも挨拶には行く」

「そうなんだ…仕事は?見てくの?」

「うーん。そこまでは予定してねぇ。でも、見といた方がいいか」

成夜が本当に来るんだって実感する。言われてても実感はなかったから、なんだか不思議ですね。
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