私のご主人様
とりあえず今は紅茶とお茶菓子を。
簡易的なキッチンに入ると、そこにいた旦那様やお坊っちゃま付きのメイドさんたちがいて、憐れみの籠った視線をいただきました。
「琴葉さん、大丈夫?」
「お茶菓子これ出します?」
「ありがとうございます…」
大丈夫って聞きながらも、敬語なのは奥様付きになるのが嫌で、手助けはしてくれるけどそれ以上はお断りという合図。
分かってますよ!誰が好き好んであんな職場選びますか!
とにかく紅茶と分けてもらったお茶菓子をワゴンに乗せて、少し早足でお部屋に戻る。
ええっと、お昼を食べていかれるらしいから料理長のところに行かなきゃ。
あーでも、紅茶のおかわりとかどうしよう…。
影分身したい。ほら、あの有名少年漫画の忍者のように!!
自分がたくさんいる様を想像したら吐き気がして、想像を頭の隅に追いやる。
ドアをノックして、中からのお返事。さーてと、行くかー!
「失礼いたします」
「あ、琴葉ー。やっぱりコーヒーにしてくれる?」
「…かしこまりました」
入ったばかりの部屋をすぐにUターン。
…ふざけんなー!!!
わがまま過ぎるでしょ!?どんだけ気分変わるの早いわけ!?