私のご主人様
「あぁ、でも使用人になってくれるなら、是非って言っていたよ」
「…お父さん、ありがとう」
「いや、この縁はお前のお陰だよ。琴葉が花咲さんと仲良くしていたから、旦那様がわざわざスカウトしに来てくれたんだ」
「え?そうなの…?」
「2年前にな。そのときは琴葉が欲しかったみたいだったが、話をするうちに私自身のことも買ってくれるようになってね。陣之内の労働状況を説明したら、うちはそんなことさせないと怒っていらっしゃった」
「花咲さんは、とっても素直なの。きっと、素敵な旦那様だよ」
「あぁ、そうだな」
なんだかずっとこんな時間はなかった気がする。
いつも気を張って、頑張ってたのかな。解放感が心を満たして、体が軽い。
楽しくて、鼻歌を歌っているとお父さんが笑っているような気がした。
家に戻ってくると、冷蔵庫に何にもなかった。お昼は残ってた乾麺を茹でて、夜はどうしようかなぁ…。
「お父さん、夜なに食べたい?」
「作るのか?食べに行っても…」
「ダーメ!今日は作るの!」
「分かった、分かった。それじゃあ、ハンバーグかな」
「はーい!ねぇ、ケーキ買ってきていい?お祝いだもん!」
「っぷ…お祝いか。たまにはいいか」
お父さんの顔楽しそう。嬉しくて、笑顔になれる。