私のご主人様
「…りぃな、………で……………」
「…………の………ひんで決定………か」
「わりぃな。今回は稼がせてもらうぜ」
…ここ、は…?
周りの喧騒に、徐々に意識がはっきりする。
いつの間に気絶していたんだろう。
目を覚ますと、何故か鉄格子が見えて、すごく薄暗い場所だった。
ここは、どこ?なんで、こんなところにいるの…?
視線を迷わせていると、鉄格子の向こう側にいる男と視線が合った。
「起きたみてぇだぜ」
「あ?…よぉ、よく眠れたか?お嬢ちゃん?」
「…」
「おいおい、だんまりかよ。声だって、大事な商売道具だぜ?」
覗き込むようにして身を屈めている男にどこか見覚えがある。だけど、記憶がはっきりしなくてうまく思い出せない。
…私、寝転がってる?身を起こそうとして、足と手が自由に動かないことに気づく。視線を向けると、鉄の塊が飛び込んできた。
何これ…。っ…なんで!?
頭が一気に覚醒して、自分が猛獣を入れるような檻に入っていることに気づく。男たちは背の低い檻を覗くために屈んでいたんだ。