私のご主人様
先ほど申した通り、正裕様は学園の王子様。そんな彼にお近づきになりたいと思うのは男女ともに関係ありません。
正裕様は決して社交的でないという訳ではないのですが、媚を売ってくる周囲のことをしっかり見極めていらっしゃる。
なので、本当に親友と呼べるのは早瀬川 春也(はやせがわ はるや)様お1人くらい。
なので、一時期は私のことを目の敵にされている方もいました。
まぁ、3年にもなると、使用人だししょうがない。使用人風情が正裕様と釣り合うはずがないという認識で平和に生活しています。
でもまぁ、それでも正裕様とプライベートな話ができることで、羨ましいと視線で訴えてくる方もいるのは事実。
なので、その逆を言うのはふわちゃんくらいなので、なんだかくすぐったい。
「ありがとう、ふわちゃん」
「…うん!ねぇ、ことちゃんのクッキーまた食べたい!」
「…嫌がらせですか?」
「違うよぅ!もう、ことちゃんはもっと自分の料理に自信もっていいんだからね!」
ビシッと人差し指を私に向けて、キメ顔をしているふわちゃん。
やっぱりかわいいなぁ。
そして思わず卵焼きをあげちゃったのは条件反射だと思う…。