私のご主人様
闇のオークション
「な…お、おい!マジかよ…」
「まさか一晩でこんなんになっちまうとは」
…声がする。ぼんやり見える景色の先に、誰かいる。
誰だろう…。そんなことを思っていると、急に髪を引っ張られて、ぼんやりしていた意識が一気に浮上する。
痛い…。でも、手も足も動かせない。
…あぁ、夢じゃないんだ。不思議とショックはなくて、自分が売られてここにいることを素直に受け入れてしまった。
「どうする。これじゃあ価値が…染めるか」
「…いや。これはこれでいいんじゃねぇか?珍しいだろ」
「まぁそうだけどよ」
「それに、染めたとばれて後から金請求されてるよりましだろうよ」
なんの、話…?不意に視界を掠めたのは白い髪。
…白髪?気づいたら切るようにしてたのになぁ。
そんなことを思っていると、男の手は離れる。同時に顔に髪の毛がかかってうっとうしい。
「…?」
あれ、なんでこんなに真っ白?…嘘、なんで!?
髪の毛が全部染めたみたいに真っ白になっていて、一晩にしておばあちゃんになった気分だ。
いや、そうじゃない。なんで?どうしてこうなったの?