私のご主人様
「30分やる。その間に体と髪を洗え。湯に浸かって温まってこい」
「…コク」
「着替えはお前が入ったらすぐにそのカゴの中に入れておく。なにも口答えするな。そこに入れられたもんを素直に着ればいい」
…何が目的なんだろう。昨日までの扱いが嘘のように、丁寧な扱いのように感じる。
再び頷くと、片足についたままの枷と、両手の枷も外される。
後ろを向かされると、口の拘束も解かれた。
「あーそうだ。逃げようとしても無駄だ。ここは地下で地上に出る道は1本しかねぇ。もちろん、見張りもいる。逃げられねぇよ。それでも、逃げ出したら、大観衆の前で醜態をさらさしてやるからな」
最後の脅しは、はっきり言わずともわかるなと、服に突き立てられたナイフが物語っていた。
何とか頷くと、男たちは脱衣所を出ていった。
その途端、足の力が抜けてその場に座り込んだ。
「…お父さん」
怖い、これからどうなるの?商品という言葉を多用する男たちに、嫌でも自分が彼らの商品として扱われていることは分かる。
その言葉に希望なんか感じられない。