私のご主人様

恥も、プライドも捨てて、ワンピースを着る。

せめてもの救いは、ワンピースが手首、足首をしっかり隠すほどの長さがあることくらい。

生きると決めたんだ。これくらい、どうってことない。

バスタオルで髪を包んでその場にうずくまる。

勝手に出たら逃げたと思われる。なら、ここでおとなしく待ってる方がいい。

しばらくのまま待っていると、不意にドアが叩かれた。

「開けるぞ」

「…」

ドアが叩かれたのを無視して、そのままでいると、ドアが勝手に開かれる。

「言いつけは守ったみたいだな」

「…」

男が持っていたのはまた拘束具。結局自由になれたのは今だけで、また手足に枷が付けられる。

口は塞がれなかったけど、噛まなきゃいいらしい。

枷がしっかり付けられたのを確認した男は、片手に首の枷についた鎖を持ち、もう片方にはナイフを持って私に向ける。

「来い、トイレは行っとくか?」

そこは気にしてくれるんだ…。あー違う。せっかく洗ったのにまた汚くしないようにか。

一応頷くと、男はすぐに案内してくれて、手の枷が外され、5分と言う言葉と共にトイレに押し込められた。
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