私のご主人様
そんなとこで時間を過ごすのも嫌で、すぐに出るとすぐに最初にいた檻の部屋に戻って来た。
…なんだろう、なんか騒がしい気がする。
それに、まるで順番待ちの列のように、枷に繋がれた男女を、近くで私を拘束する男と同じような人が並ばせている。
枷に繋がれた人たちの服装は、もはや服とすら呼べないような人もいる。水着なんて生易しいと思えてしまうほど、ひどい姿だ。
彼らの姿を見ると、自分がさせられている格好はとても優遇されているんだって、嫌でも分かる。
「おいおい。お前の出番は最後」
ぐいっと引っ張られ部屋の隅っこに座らされる。
前にかがんだ男は、持っていた鎖を壁についた何かに繋げると、毛むくじゃらの手で乱暴に頭を撫でてきた。
「待ってろ」
離れていった男を見送り、列を作る男女に視線を向ける。
彼らの顔は一様に絶望の一色で、その目に生気はない。
あの人たちも、“商品”なんだろう。しかも、昨日の男たちの話によれば、“商品”は“新製品”すら珍しい。
そうならば、彼らは何度も売り買いされているということ。
何人にも買われ、売られを繰り返してきたということ。