私のご主人様

そんなとこで時間を過ごすのも嫌で、すぐに出るとすぐに最初にいた檻の部屋に戻って来た。

…なんだろう、なんか騒がしい気がする。

それに、まるで順番待ちの列のように、枷に繋がれた男女を、近くで私を拘束する男と同じような人が並ばせている。

枷に繋がれた人たちの服装は、もはや服とすら呼べないような人もいる。水着なんて生易しいと思えてしまうほど、ひどい姿だ。

彼らの姿を見ると、自分がさせられている格好はとても優遇されているんだって、嫌でも分かる。

「おいおい。お前の出番は最後」

ぐいっと引っ張られ部屋の隅っこに座らされる。

前にかがんだ男は、持っていた鎖を壁についた何かに繋げると、毛むくじゃらの手で乱暴に頭を撫でてきた。

「待ってろ」

離れていった男を見送り、列を作る男女に視線を向ける。

彼らの顔は一様に絶望の一色で、その目に生気はない。

あの人たちも、“商品”なんだろう。しかも、昨日の男たちの話によれば、“商品”は“新製品”すら珍しい。

そうならば、彼らは何度も売り買いされているということ。

何人にも買われ、売られを繰り返してきたということ。
< 96 / 291 >

この作品をシェア

pagetop