私のご主人様
その“商品”に、私は加えられてしまったんだ。
この先に何があるかなんて分からない。でも、私は…。
急に目の前に落ちてきた袋。我に返り、顔を上げると男が戻ってきていた。
「好きなの選べ」
「…え」
「食わせてやる。全部食ってもいい」
そう言いながら男は、袋から次々に出すのは多分コンビニのおにぎりやサンドイッチ、お菓子にお酒まであった…。
未成年だし。そんなことを突っ込んでる自分にあきれた。
男は袋の中を全部出し終えると、私を見た。
「何がいい」
「…」
「…こんなこと言うのもおかしいけどな。食ってた方がいい。これから当たり前のように3食食えるとは限らねぇ。下手をすれば、水すら飲ませてもらえねぇかもしれねぇんだ」
「…おかしいよ。そんなの」
「あぁ。そうだな。でもな、お前はもう人じゃねぇ。ご主人様の機嫌を取る“玩具”だ」
「っ…」
最後の、餞別ってわけだ…。
チラッと見えた先に、並べられた食べ物を食い入るように見つめる女の人がいた。
その目は生気がなかったとは思えないくらい、この食べ物を見つめている。
意地なんか、張ってる場合じゃない。