クリスマスイブの贈り物
最初に凄い姿を見せてしまったからか、彼女は俺には気取った様子もなく話した。
彼氏と別れたばかりだということ。
おねだりして、買ってくれると約束していたのにご破算になってしまったものを、自分のボーナスをつぎ込んで全て買ってきたこと。
「あんなケチな男となんて別れてよかったんだわ」
鼻で笑って見せる姿にも、なんだか無理が見え見えで。
「じゃあなんで泣いたんだよ」って聞いたら、口を一文字にして、目を潤ませながら、「欲しいもの手に入れて満足したら気が抜けたのよ」とぽつりと言った。
なんだ、まだ好きなんじゃねぇかって思ったけれど。
それ以上突っ込んだらまた泣くだろ? きっと。
「イタイ女だなぁ」って言ったら、ますます拗ねて。
鼻の頭を赤くして、泣くもんかと踏ん張る顔が、化粧を直したばかりの澄ました顔よりも断然かわいく思えて。
「まあ、かわいいけど」
本心からそう言ったら、きょとんとして俺を見てた。
その時、荷物持ちとして彼女を家まで送り、連絡先を交換する。
毎日のように電話して、時々会うようになるまで、それほど時間はたたなかった。
初めての夜、なんとなくお互いの話をした。
愛奈は俺より四歳も年上の二十八歳で、一流企業の事務職をしていた。
俺はしがない宅配業者。
なんとなく打ちのめされた気持ちで、「俺なんかとこんなんなっちゃってよかったの?」と聞いた。
愛奈は拗ねた顔で、俺の唇を奪いに来た。
「肩書とか関係ないでしょ」
愛があれば全てのことを乗り越えられる。
俺たちは多分そんなきれいごとに酔っていたんだ。
彼氏と別れたばかりだということ。
おねだりして、買ってくれると約束していたのにご破算になってしまったものを、自分のボーナスをつぎ込んで全て買ってきたこと。
「あんなケチな男となんて別れてよかったんだわ」
鼻で笑って見せる姿にも、なんだか無理が見え見えで。
「じゃあなんで泣いたんだよ」って聞いたら、口を一文字にして、目を潤ませながら、「欲しいもの手に入れて満足したら気が抜けたのよ」とぽつりと言った。
なんだ、まだ好きなんじゃねぇかって思ったけれど。
それ以上突っ込んだらまた泣くだろ? きっと。
「イタイ女だなぁ」って言ったら、ますます拗ねて。
鼻の頭を赤くして、泣くもんかと踏ん張る顔が、化粧を直したばかりの澄ました顔よりも断然かわいく思えて。
「まあ、かわいいけど」
本心からそう言ったら、きょとんとして俺を見てた。
その時、荷物持ちとして彼女を家まで送り、連絡先を交換する。
毎日のように電話して、時々会うようになるまで、それほど時間はたたなかった。
初めての夜、なんとなくお互いの話をした。
愛奈は俺より四歳も年上の二十八歳で、一流企業の事務職をしていた。
俺はしがない宅配業者。
なんとなく打ちのめされた気持ちで、「俺なんかとこんなんなっちゃってよかったの?」と聞いた。
愛奈は拗ねた顔で、俺の唇を奪いに来た。
「肩書とか関係ないでしょ」
愛があれば全てのことを乗り越えられる。
俺たちは多分そんなきれいごとに酔っていたんだ。