YOU&YOU
勇介の割り箸
「おい、割り箸」
突然後ろから声をかけられる。
「は?」
私は相当怪訝そうな顔をしながら振り向く。
「だからー、わーりーばーし。」
勇介だ。
最近勇介は背が高くなって、女子人気が高くなってきた。
「なんで?私、割り箸じゃないし、割り箸係じゃないんだけど。」
「だっていつも勇太が貰ってんじゃん」
勇太は、別格なのだ。勇介とは違う。
なぜなら、私は勇太が好きだから。
割り箸なんかで話す機会が出来るのであれば安いもんだ。
だから、私は割り箸を持ち歩いているだけで、他の人にあげるつもりはないのだ。
「えーやだ。今日ラス1だから勇太のしかない」
5膳くらいはストックがあるが、嘘をつく。
それに、まだ今日は勇太が割り箸を貰いに来るかなんて分からないのに、取り置きしてしまっている私がいる。
「わかった」
勇介はそう言うと、ふらっと何処かへ行った。