聖夜の奇跡
「で。その中に、君の眼鏡に適う男性がいたのかい?」
「………」
その問いに、私は力なく首を横に振った。

残念ながらこれまでセッティングしてもらった3名の中に、運命の相手だと思える人はいなかった。

1人目は貯金はあるが吝嗇家で、口を開けばお金の話。
2人目は資産家の次男だがマザコン、母親付きのデートにはサスガに引いた。
3人目に至っては論外で、出会ったその日に身体の関係を迫られた。

本音を言えば、
早くも挫けそうになっている。

「そうかい」

それを聞いた社長は、さも愉快そうに笑った。

「笑い事じゃありませんっ」

ぷいっと横を向くと、彼はゴメンと手を合わせながらも、まだ笑いが止まらない様子だ。

ムッとした私は、グラスの中身をグイッと一気に飲み干した。
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