7年越しのふたりの約束
「なぁー。紗羽、初めてのクリスマスこんなんで、ごめんな。」
「すごいかわいい~!!」
7年前、付き合ってすぐの二人はまだ学生で、大人のようなクリスマスデートは難しかった。
当時、服飾デザインの学校に通ってデザイナーを目指す尊からのプレゼントは、手作りの髪飾りの数々だった。
学校の課題にお金がかかるため、豪華なプレゼントは出来ないけどと、プレゼントされたものに、これ以上ないほどに胸がときめき、値打ちのあるものを感じた。
自分のためだけに作ってくれた、それが一番嬉しかった。
その時、ふと、テレビに映ったのがオーシャンビューとイルミネーションが素敵と言われる、このホテルだった。
紗羽がその画面にくぎ付けなことに尊が感じ、提案した。
「毎月5000円ずつ貯めて、7年後にこのホテル行こうか!」
「うん!」
紗羽は、その提案が嬉しくて二つ返事をした。
その時は、本当に、純粋に7年後の約束が嬉しかったのだが、気がついたら、徐々に二人の距離が微妙な距離になり始めていた。
二人は同じ服飾系の会社に就職する。紗羽は庶務課、尊は、デザイン課。
2年たった今でもクリスマスのホテルのために、二人での貯金は続けていた。