人生ゲーム

震える指先で通話ボタンを押した。

何て言っていいのか分からず、無言で携帯を耳にあてる。
　
「もしもし、並木です」
　
「あ、はい…」
　
今にも消え入りそうな声で返事をした。

引きこもっていたときは一日中喋らなかった。

そんな日が続き、声帯が弱まってしまったのだろう。

美咲にとって、これが出せる声の精一杯だった。