人生ゲーム
孝也は必死で言葉を探した。

だが、咄嗟に上手い言い回しは思い浮かばない。

ただ無言の時間が過ぎる。

それは孝也が翔の質問を肯定するのと同じこと。

「あの…」

孝也が詰まる喉を開いたとき、電話口から翔の溜息が聞こえた。

「俺はこれでもあなたのことを信じていました。

確かに人を簡単に信じてはいけません。

しかし、誰か一人信じられる人を作らなければ切り抜けられる道も切り抜けられません」
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