聖夜に薔薇を
その言葉を聞いて葛西がふっと笑みを引っ込める。そして髪に指を通しながら俯くと、彼は大きく息を吐いた。
彼の様子に、花乃はもしかしたら困らせてしまっただろうかと不安になる。つい勢い余って告白してしまったけれど、答えによっては今後お互い仕事で気不味い思いをしなくてはならない。奥歯を噛み締めて傷つく覚悟をし、葛西の返事を待った。
「……今言うのも何ですが、五年前に離婚してるんです。週末も祝日も盆暮れ正月も休みが取れないのが辛かったみたいで」
「離婚なさってるのは噂で聞きました。理由までは知らなかったですけど……カレンダー通りに休めないのは私も同じですから」
落ち着いて答える花乃を見て、葛西はもう一度長い溜息をついた。
「……先を越されましたね」
「え?」
「バツイチなのもあって躊躇ってた事を、先に言われました」
その意味を花乃が理解するまでに数秒かかった。
「仕事に真摯でいつも精一杯の事をしてくれる相原さんをいいなあと思ってたんです。今日、これを引き受けてくれたのが相原さんで良かった」
喜ぶというより驚いて眼を丸くしている花乃を見て、葛西が笑う。
クリスマスの魔法なのだと言われたら、今なら信じられる気がする。サプライズを仕掛けに来て、まさか自分が最高のサプライズを得られるとは思わなかった。
彼の様子に、花乃はもしかしたら困らせてしまっただろうかと不安になる。つい勢い余って告白してしまったけれど、答えによっては今後お互い仕事で気不味い思いをしなくてはならない。奥歯を噛み締めて傷つく覚悟をし、葛西の返事を待った。
「……今言うのも何ですが、五年前に離婚してるんです。週末も祝日も盆暮れ正月も休みが取れないのが辛かったみたいで」
「離婚なさってるのは噂で聞きました。理由までは知らなかったですけど……カレンダー通りに休めないのは私も同じですから」
落ち着いて答える花乃を見て、葛西はもう一度長い溜息をついた。
「……先を越されましたね」
「え?」
「バツイチなのもあって躊躇ってた事を、先に言われました」
その意味を花乃が理解するまでに数秒かかった。
「仕事に真摯でいつも精一杯の事をしてくれる相原さんをいいなあと思ってたんです。今日、これを引き受けてくれたのが相原さんで良かった」
喜ぶというより驚いて眼を丸くしている花乃を見て、葛西が笑う。
クリスマスの魔法なのだと言われたら、今なら信じられる気がする。サプライズを仕掛けに来て、まさか自分が最高のサプライズを得られるとは思わなかった。