先生、教えてください。
「僕が運びますよ。」
現れたのはスーツを着た、綺麗な男の人。

おばあさんを軽々とお姫様抱っこで連れていく。
「お二人ともありがとうね。」
「いえ、僕は何も。」
サイレンが聞こえる。

「おばあさん、救急車が来ますけど、私が付き添いましょうか?」
「いいえ、そんな。こんなにしてもらっただけで十分よ。病院には孫に来てもらうわ。」
「わかりました。携帯をお持ちですか?私から連絡しておきます。」

おばあさんから携帯を拝借してお孫さんに電話を掛ける。
「すぐに来れるそうですよ。」
「本当に、ありがとうね。」

救急隊員がおばあさんを担架に乗せ、救急車に乗り込む。
「あの、これ私の電話番号です。何かあればかけてくださいとおばあさんに伝えてください。」
隊員に番号のメモを渡す。
「了解です。ありがとうございました!」

救急車が去っていくのを見届ける。
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