ひとつの輝き
龍斗先輩はうっすら笑って口を開く。
「俺は用ねーけどな」
この状況を把握できないあたしは、ただ耳を傾けるしかなかった。
なんでこんな時に龍斗先輩一人なわけ?
辺りを見るけど誰一人居ない…。
全然、人目につかない所に居ることすら今頃、気づいた。
その男は低い声を出した。
「葉山。すっげー前の借りかえしとくわ」
また使われた借りの言葉。
借りって何?
「それって、いつの話?」
龍斗先輩は首を傾げる。
「前、お前にすげーやられた時…俺の事、殺す気?」
「お前、今だにそんな事言ってんの?バカじゃね?」
と言って龍斗先輩は声をだして笑いだした。