ひとつの輝き

風呂ん中から「いってー」と叫び声が聞こえる。 


ってか、当り前でしょ…

渉も龍斗先輩も何? 


しばらくして渉が出てきてソファーに腰を下ろした。 

「ねぇ、どーしたのその顔」 

「あー…」

あたしは渉の顔を覗き込むようにジッと見た。 

すごっ…。 

龍斗先輩よりまだマシか? 
いや…どっちもどっちだな。 


傷を見て思い出し、あたしはテーブルの上にある消毒液を取り出した。 

渉はあたしの手元をジッと見て口を開いた。 


「それどーすんの?」

「えっ?傷につけるの」


渉は眉を寄せ「しみっから嫌」と呟いた。 


龍斗先輩と同じ返事が返ってきたから、あたしは思わず声に出して笑った。 

「何で笑ってんの?」

「えー誰かも同じような事、言ってたなーっと思って。渉もガキだね」 


あたしは面白く里佳さんと同じ事を口にした。 


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