ひとつの輝き

「あ?美央よりガキじゃねーよ」 

ムカッときたあたしは、渉の顔に消毒液をぶっかけた。 

「いってーお前、急にすんなよ」 


笑うあたしを見て、渉は小さな鏡を手に取り自分の顔を見はじめた。 


「やっぱすげー。つーか、これ学校行けねーわ…階段から落ちた事にしとくか」 

どー見ても階段から落ちた傷じゃないだろ! 

「ちょっと、それは無理があるね…」 

あたしは苦笑いをし「大丈夫?」と聞いた。 


「平気」 


あたしには何となく分かった。 

あたしはいつも大丈夫じゃない時に“大丈夫”って言ってしまう。 

だから渉、見てると全然、大丈夫じゃないと思った。 


龍斗先輩も平気じゃないくせに“平気”って言ってた。 

そう言われても気になるよ… 


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