ひとつの輝き

しばらくした後、渉の声がポツリと落ちた… 

「ごめ…」 

急に謝ってきた渉にあたしは首を傾げた。 

ごめんって何? 

何の事? 


「えっ何が?」 


渉は鏡を置き深くソファーに背をつけた。 


「今日、龍が俺んちに来て、しかもすげぇ顔して…美央が俺の事で小沢とかにやられて顔、傷だらけって言ってきて、それ聞いて俺、家飛び出してた。行く時に龍に止められて美央が“人を殴っても自分に得る物はない”って言ってたから口だけにしろ!って龍が言ってたけど…俺の中では、その言葉、捨てたつもりで行った。けど、そいつを一発殴った時に、龍が言ってたお前の言葉が頭に浮かんで手が動かなかった」 


渉は一旦、フーと息を吐き話を続けた。 


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