ひとつの輝き
「なんか…俺、お袋いねーじゃん?」
「えっ…うん。病気だっけ?」
「そう小学ん時に亡くなって…だから両親いる奴はいーと思うよ」
「…そうかな」
「だから大事にしろよ。ここの河原すげー小さい時にお袋と姉貴で来てた。あんま記憶ねーけど…だから何かここに来たら思い出す」
「そっか…」
あの時きっと、渉はここの河原を見てたんだ…
あの時きっと、渉は思い出してたんだ…
なんとなく聞いてあげられなかった事に少し後悔した。
きっと幸せそうな顔をしている人も、心の中に悲しみを持っているのかもしれないと思った。