ひとつの輝き
今更、思った。
言う言わないが、こんな大げさになるとは思いもしなかった。
「ほんっと違うから、だから別れるの嫌だからね」
あたしは渉の腕を掴んで必死に伝えた。
だけど渉はあたしの手を追い払った。
「そいつと仲良くやれよ!つーか、女待たせてっから」
渉はまだ吸えるタバコを足で踏みつけ校門の前を指差した。
こっからでも人は小さく見える…一人の女の人が壁に寄り添っていた。
なんで…
何でそうなるの?
歩いて行く渉に「ちょっと待ってよ!ねぇ待ってよ」と叫んだ時、ドアから里佳さんが入ってきた。
里佳さんは話を聞いていたのか渉を見上げて睨んだ。