ひとつの輝き

廊下ですれ違った時、渉は目も合わせようともしてくれなかった。 


それがどんなに苦しかったか… 


1年と2年じゃ、会う事もあまりない。 


ましてや渉の目線よりタバコの匂いのほうが気になりはじめた… 


今までより凄いタバコの匂い… 


こんなすれ違っただけで、ここまで鼻につくとは、どんなに吸ってんだ? 



と、そう思う事しかなかった。 


自分の隠し事が相手にバレると、こんな事になるんだ…と思った時、あたしは“恋なんてめんどーだ”と思った自分がいた。 



こんな満たされない想いがあるのなら知りたくなかった…。 


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