ひとつの輝き

「えっ?煙?」

「そうそう。タバコの煙って、すげー綺麗な空気を一瞬にして汚すじゃん?その煙って消えても、まだ回りは曇ってるし汚れてんだよ…それって今の美央ちゃんと同じなんだよね」


龍斗先輩は小指で灰皿を引き寄せ、それに軽くタバコを打ち付けた。 


「あたしって、どう言う意味ですか?」 


龍斗先輩はあたしを見ながらタバコをくわえフーっと息を吐いた。 


「さっきさ里佳が虹の写メ見せたじゃん?虹もタバコと一緒で一瞬しか出ないじゃん?でた後は、うっすら消えていく…だけど虹の一瞬ってタバコとは違う…見た時の感情の表し方が全然違う」 


あたしは返事を返さずにジッと耳を傾けた。 


< 179 / 223 >

この作品をシェア

pagetop