ひとつの輝き

「買ってきたよーん」

里佳さんの明るい声が響いた。 

龍斗先輩はチラっと見て立ち上がった。 


「里佳、帰るぞ」

と、龍斗先輩はテーブルの上にあるタバコを手にした。 


「えーもう帰るの?来たばっかじゃん。あたし美央ちゃんと話してないよ?」


里佳さんはチラチラと互いを見た。 


「来た時、話ただろ?俺、用すんだし」 


そう言って龍斗先輩はあたしを見てうっすら笑った。 


里佳さんは眉を寄せ「わかったぁー」と呟いた。 


そしてビニール袋の中からジュースを取り出した。


「はい。これ美央ちゃんのミカンジュース…美央ちゃんにそっくり」 


里佳さんが差し出してきたジュースを受け取り、首を傾げた。 


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